厚真町は北海道の道央エリアに位置し、樽前山の火山灰と勇払原野の豊かな水源によって、独特の地質・土壌でなりたっています。町の約70％を森林が占め、その４割に天然林が広がる緑の大地には、100を超える湖沼が点在し、隅々まで潤しています。私たちは忘れてはいけないのです。思い切り深呼吸できるのも、森が健全であること。水が清らかであること。それが絶対です。私たちにとって、そのすべてが整った美しい美しい田園の風景が、厚真町の誇りそのものでもあるのです。

　厚真町の土地は特別です。樽前山の爆発で散った大量の火山灰が水源地全体を覆い、大きな蓋をした状態で地層を形成しました。厚真でとれる農作物がおいしい理由はここにあります。水はけのよい大地の下には、豊富な水量をたたえた水の層があり、それがまるで自然の水耕栽培の役割を果たしているというのです。稲や麦はもちろん、根菜類、葉物野菜、果樹の果てまで、その恩恵を受け育っています。自然界が織りなす奇跡の大地。「厚真テロワール」、私たちはそう呼んでいます。

　人口約4500。人々の営みはとても近く、互いの距離を多少の煩わしさと愛しさをもって、心地よく過ごしています。自然との距離も同じではないでしょうか。あまり遠くなりすぎると、目や耳や心に届くものが少なくなり、あまり近すぎても生活が成り立ちません。だから、ここに住む人々は知っています。森を大事に、田畑を健やかに、水を汚さずに、季節を感じながら懸命に生きることを。いつか訪ねてきてほしい。何もないことの贅沢を感じるために。それまで私たちは、厚真町の魅力を伝え続けることでしょう。